誕生日といえば、ケーキである。プレゼントも欠かせないが、ケーキも同じくらい欠かせないものであろう。
しかしながら、私はたいていのケーキに使われている生クリームが苦手である。見た目は大好きなのだが、味が苦手なようだ。記憶を遡ると、幼少期に生クリームをふんだんに使ったケーキを食べて気持ち悪くなったことがきっかけだと思うが、未だに好きに慣れず、食べると気分が悪くなってしまう。
そんなわけで、誕生日ケーキはわたしにとっては少し難しい食べ物である。ショートケーキをもらったら「美味しく食べる」ではなく「頑張って食べなくてはならない」になってしまう。ショートケーキにもパティシエさんにも失礼だ。
今年の誕生日直前、彼氏が好きなケーキを聞いてきた。わたしは生クリームが苦手という事情があるので、好きなケーキ以前に、食べられるケーキが限られる。クリームのないケーキというと、チーズケーキとタルトが思い浮かぶが、わたしはこのうちタルトが大好きである。そこで、間髪入れずに「タルト」と回答し、この記事にここまで書いてあるような、なぜタルトなのかということを熱く語った。
そして誕生日当日、イタリアン料理のお店で二荒でご飯を食べた(ここは割り勘)あと、彼氏がケーキをくれた。一つ1000円ほどするらしい、大変高級なケーキである。そして、そのケーキはタルトであった。
お腹いっぱいだったのに、二つを半分ずつ、つまり2種類のタルトを2人で一緒に食べた。ちなみに時間は深夜12時、もはや誕生日は終わっているし、タルトの消費期限も過ぎていた。それでも、胃袋は美味しいタルトで満たされ、心は幸せでいっぱいだった。
なんと幸せな誕生日。その後、後悔しないように、しっかりキャベジン3錠飲んで歯磨きをしたのち、眠りについたのだった。